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けだものだもの

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2009年 06月 23日

それでもここは、ノアの方舟なんだ

生後2ヶ月。オランウータンの赤さん。
哺育器に入れられて、人工哺育を受けています。お友だちは当面しまじろうです。
この子は、お母さんから育児放棄を受けてしまいました。
この子のお母さんも、生まれた時に母親から育児放棄されました。
この子のお母さんも、親の愛情を知りません。だから、自分の子どもが生まれた時、子どもをどうしたらいいのか分からなかったのです。

自然界において、育児放棄は実はそう珍しいことではありません。
親は自分の身が死に直面した時、迷わず子どもを捨てます。
もし子どもを助けて自分が死んでしまった時、子どもは生きるすべを失います。そうしたら結局、親も子も両方死んでしまいます。でも親が生き残れば、また子どもを生み育てることはできるからです。
シビアかもしれませんが、それが自然の選択。
育児放棄を受けた子は、自然界では当然に淘汰されます。
親の愛情を知らない子が、自分の子を手にする可能性は限りなく低いのです。
でも、動物園は違います。
親の子を受けられなかった子を人間が育て、その子がまた自分の子を手にすることができます。
でもその子はまた・・・親の愛情を知らぬまま大きくなります。

ヨーロッパでは、この連鎖に疑問を投げかけ、育児放棄を受けた子を積極的に延命しないところも増えています。
日本では今のところ、授かった命を見捨てることはありません。
たとえそれで、人間の負担や金銭的な負担が増えたとしても。

どちらが正しいのか・・・・正直アタシには分かりません。
ただ、間違いなく言えるのは、動物園は今の地球に浮かぶノアの方舟。
命が輝く場所であることに、疑問を差し挟む余地はありません。
この子の未来が、輝かしいものでありますように。今は静かにそれを祈ります。
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by tom_oki1108 | 2009-06-23 22:07 | 王子動物園


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